2009年7月1日水曜日

ムショ暮らしで箔をつける男

★バーニーの代理逮捕★

ギャングの一団を守るために一人だけ罪をかぶって刑務所に行かねばならないときがある。仲間の犯罪について口を割らないで通すことができれば英雄扱いだ。箔が付いたなんて言う。その男が全部の罪を背負い、他のメンバーは訴追を免れることができる。

今後出現するはずの多くの身代わり人たちにとって、ウォール街を支えるモロク陰謀団のために犠牲になるバーニー(バーナード・マドフ)は模範になる、とデューティー・ファースト伍長は語る。伍長は、バイクに跨ってニューメキシコ州トゥルース・オア・コンシクエンシーズ市の南側をロッキー山脈沿いに走ってきたばかりだ。(モロクとは、尽きることのない債務、利子マネー、株式市場詐欺の神である。詳しくは『地球を滅ぼす人類最後の宗教、マネー』の本を読んでいただきたい)

米国の店頭株式市場(NASDAQ)は、ニクソン政権のホワイトハウスで親密だったザーブ(Zarb、元NASDAQ会長)-ソーヒル(Sawhill、ニクソン政権のエネルギー担当)-テキサス州鉄道委員会の陰謀団を起源とするワシントンの内部関係者が生み出したものだったことを伍長の話で思い出した。彼らは、「油断ならないディック(ニクソン大統領)」が1983年までに無料のエネルギーを実現するというバカげた考えを持っていたことや、アメリカ人の所得を保証する計画やFRSを管理下に置くといった恐ろしい単純発想をすることに気を揉んでいた。

バーニーを長らく社長の座に据えていたNASDAQ陰謀団は、バーニーが犠牲役にピッタリだということに気付いたようである。バーニーは全社会を騙してマネーを株式に注入させることができただけでなく、万が一詐欺がバレて失敗しても堅く口を閉ざすことができた。NASDAQのそもそもの成り立ちに加え、政府機関や大統領と連携して保護された陰謀団であるから、規制当局や審査機関によって問題が明らかになるとは思えなかった。そして、その通り何も問題なかった。

バーニーとNASDAQのギャングは、インディアン居留地にカジノという素晴らしいアイデアを始め、あらゆるレベルで政府を実効的に支配した、と伍長は断言する。国連の決議さえあれば、インディアン居留地は国連軍によって国境が警備される独立国として宣言することがすぐにも可能であり、米国もカナダ政府も干渉することはできない。バーニーの相棒であるジャック・アブラモフは米国の内務省をイスラエルの州のように扱っていると伍長は言う。(ジャックはインディアン部族絡みの詐欺でいくつもの重罪に問われている)

伍長は反ユダヤ思想に陥っているのではないかと、我々はさりげなく指摘した。伍長はのけぞって我々を単細胞だと罵倒した。わからないかね? 米国の連邦政府全体がKDQNという頭文字で表されるネットワークによって運営されているのだ、と伍長は怒鳴る。伍長がNで始まる言葉を本当に口にしたのには参った。伍長の考えでは、米国政府とは、ユダヤ人(Kikes)、レズ(Dikes)、ゲイ(Queers)、そしてNのネットワークである。40年も軍隊に勤務し、政治的公正の教育を受けてきた伍長がこんな考えを持つとはあまりにも衝撃的で、信じられない。

伍長が提起した問題を最も適切に処理してくれるのはツクトヤクツクのエメットだろう。彼はあらゆる既知の暗号と電気回路を解読する達人である。彼は、世界一流の霊媒で深いトランス状態でチャネリングし、遠隔透視する能力を持つウィルマとも親しい。エメットは、カジノを始めあらゆる地点をつなぐ通信トラフィックに精通しているが、外国との特別なつながりについては黙秘している。そんなことは余計なお世話だと彼は言う。エメットはきっとスパイ契約を結んでいるに違いない。おそらく同じ情報を沢山の競合する諜報機関に売っているのだろう。それに比べてウィルマはおしゃべりだ。彼女が言うには、過去20年の間、モサドは北米のインディアン居留地を這いずり回っているそうだ。ジャック・アブラモフも身代わり逮捕の一人だと考えた方がいいわね、とウィルマは深いトランスで得た直感に基づいて忍び笑いを浮かべながら話す。

当て付け、断言、当てずっぽう、中傷といった言葉でさえ、この三人の情報源から得た情報を評価するには穏当すぎる表現である。仏陀の思想が頭に浮かぶ。
「生は苦なり」
黒ゴマのホワイトハウスの管理下で活動する二人組のイスラエル人に残された可能性について想いが湧き上がるのを何とか抑えた。こわっ!

マーケットやマネーを研究する者にとっては、モロクの資本主義の世紀が予期された通りの終焉を迎えているのは比較的自明なことである。バーニーは最初から運命つけられていた。他の連中と同様、バーニーは長生きし過ぎただけだ。「政府債務・株式市場・金利に支配されたシステムは百年間は機能するだろう。その後、破綻する」ノーベル賞を受賞したフレドリック・ソディーは1923年に言った。ありがとう、ソディー。それで、我々は今からどうしたらいい?

★気色悪い強制収容所★

開きっぱなしになっていた扉から声が聞こえてきた。C・モア・ブックス教授がいつもの唸り声で説教しているのが聞こえる。最近の「信用崩壊」のようにモロク神の期待を裏切ることをすれば、モロクは人間を見捨てると、誰かに向かって話している。そしてモロクは別の人間に乗り換える。モロクは許すことを知らない神である。モロクは嫉妬深く、復讐心に燃えた神であると、全知の教授は怒鳴る。教授は私の本から引用したものをまるで知っているかのように話している。教授に何とも驚くべき質問をしたのが聞こえた。

カザバジュアのエマは、深いトランス状態で遠隔透視する霊媒であり、ツクトヤクツクのウィルマの代役である。数え切れないほどのミサを挙行し、無数のロザリオの祈りを捧げてきた男、ウィラードと親しい。ウィラードは物心ついてからというもの、全人生をナチスの戦争犯罪人を探し出すための警戒に費やしてきた。今までのところ成果なしだ。ウィラードは強制収容所と第二次世界大戦のことを会話に挿むことが多い。

バチカン第二公会議以来、カトリックのイメージから十字架のはりつけのような気味の悪いものを消してきたのは何か意味があるのか、そして、これは1960年代のホロコースト神話の創造と何か関係しているのかと、ウィラードは教授に質問したようだ。ウィラードは、十字架のはりつけという一人の人間にかかわる気味悪い話が、第二次世界大戦のホロコースト神話という集団での気味悪い話に入れ替わったことを発見して興奮気味だ。この入れ替えは、ケネディ大統領の暗殺と第二バチカン公会議が閉幕した直後に行われているのであるから尚更興味をそそられる。教授は自信たっぷりだ。彼は宗教とマネーと宇宙人については何でも知っている、と自分で言っている。

大変すばらしい着眼点だと教授はほめる。教授の答えは漠然としていて完結していない。教授は第二バチカン公会議のことを何やらムニャムニャと語り、未だに会議の意義は明らかになっていないが当代の大革命であったなどと言っている。西洋人の頭脳のある部分は、気味の悪いものに騙されやすく、操られやすい。6百万という数字はオカルト的な重要性があり、それは出エジプトのときの選ばれた完全な民にまで遡るものだと教授は言う。出エジプトの父殺しも非常に大事であると言う。おい、誰か! この男に褒美をやってくれ。

やっと教授はいつもの調子を取り戻した。気色悪いものによって思考をかき乱すことにより、モロク神は過去一世紀を支配することができた。ユダヤ・キリスト教と聖書の諸宗教という日常的な文化に身を潜め、モロクは恒久的な債務と金利によって現される奴隷状態を押し付ける。これは千年の間、続くことが想定されている。しかし、バーニーとその陰謀団は失敗した。今までのところ、誰もモロクの千年王国を築くことができたものはいない。このため、北米には心霊的な(オカルト的と言ってもよい)闘争が存在する。中央銀行・NASDAQ・株式市場陰謀団は、モロク神に見捨てられないように躍起になっている。このドルを基盤とした陰謀団は、モロクの希望に応えることに失敗したことを自覚しているが、米国を強制収容所として完成させることでモロクの許しを乞おうという期待を抱いている。その電子的な強制収容所は、気色悪いことに夢中になるあまり、返済不可能な負債のことを忘れてしまった消費者で満杯である。教授は溜息をつく。

教授が自分自身の熱弁に疲れ、悲嘆に暮れていると、衣擦れの音がしてエマの登場を告げた。ウィラードは、彼の「恋人」であるかのようにエマに声を掛ける。このブログでは以前からロコ・ロラとして有名であるが、ウィラードに迎えられて瞳を輝かせるエマを見るのは何とも喜ばしいことだ。ウィラードはナチスの戦犯探しに全生活を捧げており、外に出て女性と出会う時間などなかったのだ。

By R.D.Willing
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