2009年10月1日木曜日

十月の不安

★思考操作★

アメリカ国民の精神は力を失ったと、カザバジュアのウィラードが言い出した。ナチスの戦犯探しをライフワークにしているウィラードは、ナチスがやったような権力の濫用をアメリカ人が自らの司法システムで容認していることにがっかりしている。Demanychuck事件で彼を迫害しようとして裁判所が行ったおかしな言い訳に、彼の高貴な探求心が汚されたような気がしている。二カ国の最高裁判所で二度無罪判決になっているが、アメリカの操り人形であるドイツの裁判所は、再び無罪の人間を戦犯にしようとしている。

ウィラードは、このブログを前から読んでいる人にはロコ・ロラという名前で通っているエマと親しいが、続けてこう言った。戦争、経済、政治に関するアメリカの政策の多くが、民主的に参加している人々が形成していることは信じられない。そうした政府の振る舞いを受容するとは、アメリカ人は知恵遅れになっているに違いない。成熟した文明人として求められる基本的な行動を失っているように思える。医療とは、市場のマネー価格で保険会社に分割割当するような商品ではないことさえ、理解できない。老衰したり、病気になったり、ケガをした人を無条件に助けることは、普遍的な社会の義務である、とウィラードは言う。ロコは、ウィラードに「あまり気にしないで」と言った。「アメリカ人の思考をコントロールしようとする企業のマインド・コントロールは、既に破綻している。津波のような巨大な権力闘争が、支配権力をかき乱そうとしている」とロコは言う。

モントリオール市場の情報筋は、ロコ・ロラの意見に随分と熱心に耳を傾けている。彼は自分自身の直感的な情報を信じ、ロコの話を聞くことには否定的であるが、ロコの情報で随分と金を儲けたようである。ロコは、情報筋のことを詐欺師だと思っている。過去十年で意味のある抵当権投資はGNMA(ジニーメイ、政府住宅抵当金庫)だけだということさえ解明できなかった無能者である。明らかに、ファニーメイ、フレディーマックは、バーニー・マードフをNASDAQの会長にした連中が工作した哀れな詐欺だった。何十億ドルも儲けて、バーニーが罪を被った。米国経済・株式市場システムについて、ロコは、内心、米国全体が詐欺企業だと思っているのかもしれない。

C・モア・ブックス教授は、彼の領域である政治と金融をロコが横取りしようとしているのに困惑している。教授は、金融、政治、行政、地球外生物の分野なら、何でも知っていると自負している。最近の教授の社会学研究によると、愛国心や企業や仕事への忠誠心がなくなると、アメリカ人の公共精神は制御不能になることが明らかになっている。何が起きてもおかしくない状況だ。大変だ!

ロコ・ロラは、教授の困惑した様子を楽しんでいる。よくロコは、腕を半旗の位置に上げた状態で、1930年代のココ・シャネルの空のシガレット・ホルダーを手に持ち、衣擦れの音をさせてやってくる。そして教授の隣に座る。一言もしゃべらない。微笑んでいるだけだ。教授は、タバコの煙にアレルギーがあり、ロコはそれを知っている。意地悪な女だ。


★マネー論議★

1948年式インディアンチーフ74の轟音が低く響くとデューティーファースト伍長の登場だ。このマシンは、1949年式ハーレー61のオーバヘッド・バルブのエンジンとは違った音を出す。トゥルースオアコンシクエンス市のすぐ南のロッキー山脈に沿った旅から帰ってきたばかりの伍長は、「長距離にはインディアンチーフが良いね」と言う。長距離旅行の間にいろいろ考えていたと彼は言う。教授は何を話し出すのだろうと、驚いている。

伍長は歴史上の事件を再考していたようだ。彼は、歴史は1956年11月の米国の選挙の日に始まると言う。その日、米国の戦略空軍B47がロンドン上空にあり、あと一歩で英国の都市に原子爆弾を投下するところだった。それで、アンソニー(トニー)・イーデン英首相は、アイク(アイゼンハワー)米大統領に、スエズ運河でのあらゆる軍事行動を中止するとともに、ハンガリーで革命をそそのかすのをやめるように命令された。イーデンには選択肢があった。拒否して原爆を浴びるか、原爆を浴びて米国への報復核攻撃を指示するか、または、米国に服従するかである。この事件のストレスで、イーデン首相は完全に神経衰弱となった。すぐに人知れずジャマイカの自宅に隠遁した。この日以来、ロンドンのシティとテルアビブのあらゆる経済・外交政策は、米国への報復と復讐への秘められた情熱によってつき動かされてきた。アメリカ人は忘れっぽいので、この日に惹き起こされた政治的現実の意味を認識していないと、伍長は物思いに耽りながら話している。

「要するに何が言いたい?」と教授がとげとげしく言う。教授は伍長に対しては無礼である。「要するに、ロンドン・シティの復讐が今、成就しようとしているのだ」と伍長が言う。準備通貨としての米ドルの撲滅が目前に迫っている。ロンドンとテルアビブが操っている復讐は、どうやってドルを置き換えるかを決めようと進行中だ。この復讐は、原爆の脅迫を個人的に直接経験した人たちが生きている間に成就しなければ意味がない。巨額の金を儲けようと企んでいる。現時点では、ユーロ、円、英ポンド、ルーブルの四つ巴の戦いになっている。教授は、ルーブルと叫びながら、よろめいて立ち上がった。準備通貨としてそのような通貨が対象となることに戸惑ったようだ。伍長は、意地悪くにやりと笑った。「金で裏付けられたルーブルだ」と言う。教授は言葉を失って身振りで何か伝えようとしている。飛んで行きそうなぐらい両腕をバタつかせている。

ロコ・ロラは、精神世界とコンタクトするため深いトランス状態に滑り込んで行った。モスクワが第三のローマとか、ぶつぶつ言っている。教授は幾分平静を取り戻したようだ。彼の今までの読書には、12番目の最後の宗教であるマネーこそが、現役で活躍中の宗教であるということはどこにも書いてなかった。伍長は教授に、『地球を滅ぼす人類最後の宗教、マネー』を読むように言った。宣伝してくれてありがとう、伍長。

By R.D.Willing
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