2009年5月31日日曜日

マネーを支配するカルト273 : 「終末」計画

デューティー・ファースト伍長には未来の映像が見えていた。どうやら「2012年に神の言葉(聖書)の時代が終わる」とつぶやいているようだ。伍長は、1948年式インディアン・チーフ74にまたがり、ニューメキシコ州トゥルース・オア・コンシクエンシーズ市の南側をロッキー山脈に沿って走ってきたばかりだ。彼が見た映像は、マヤ暦の2012年と聖書とマネーに関するものだ。カザバジュアのエマ(別名ロコ・ロラ、遠隔透視術と霊媒能力を持つ)があきれた表情で目をぱちくりさせる。鉄製のオートバイの上で秘儀的な経験をした伍長の鉄のように頑固な思考は、批判を寄せ付けない。エンジンの熱のせいで道端のペヨーテ(幻覚成分のあるサボテン)がくすぶって、その煙でも吸ったのではなかろうかとエマは思っているが、伍長は疲れ切った様子で居眠りを始めた。

株式市場の話題にモントリオール市場の情報筋が即座に興味を示した。金融とマーケットに関するアドバイザーを自認する彼は、健康のために夜間駐車場の仕事をしているそうだ。夜間、アドバイザーの仕事の客がいないのは、彼の投資哲学に関係しているのだろう。彼によると、株式市場というものは素人向けの神話だ。市場が自律的に修正するなんてバカバカしい。信用(クレジット)が拡大すると予想されれば上昇するし、信用が収縮すると下落する。信用は謎のカルト273がコントロールしている。過去50年間の世界経済は、米ドルが金(ゴールド)と同等の信頼性を持つと人々が思い込むようカルト273が誘導してきたものだ。ドルは、道徳の一形態、倫理的な人格を現すものとして祭り上げられた。いうなれば取引において手に触れることのできる「真実」のシンボルだった。

情報筋が政治の話題に移り、いかにバックフッシュ政権がアメリカ人の「高い見地」のモラルをテロと嘘で裏切り、身内を国家警備隊の兵士として戦争に送るという危険に晒させることで愛国心を操って政権の維持を図ったかについて説明しようとしたとき、C・モア・ブックス教授がやってきた。危険に直面している兵士の家族は、政権の戦争政策を支持するよう実質的に脅迫されている。これは心理学的には、軍の任務をしている身内に万が一悪いことが起きても、強い罪の意識を感じることがないよう予防しているのだと教授も同意する。

教授は、宗教、マネー、心霊分野と地球外生物については深い知識を持っていると自分で言っているが、いまだに隠れた存在であり、学界一般からは無視されている。教授は、情報筋や伍長、ロコのことを本物の情報源としては奇抜すぎると秘かに感じているが、この三人も教授に対して同じ感情を抱いている。違うのは秘かに思わないで、口に出すところだ。ロコは面と向かって「ケ」で始まり「穴」で終わる言葉で教授のことを表現したことが一度ならずある。

教授はカルト273のことを直接知っているという。紀元前700年頃のエジプト脱出の後、モロク神によってレビ族から徴集された273人の原初金融エリートのことを示す聖書の暗号に由来しているという。その集団はモロクの呪文I=PRTと、"e"の秘術を習得した。恒久的政府債務・利子マネー・株式詐欺市場の神にして全ての公害の父であるモロクが、「高利貸し」として人類の意識に入り込んできたのはこの時代だ。この事件は、紀元前539年頃の第二神殿の建設として暗号化されて巧妙に隠匿され、歪曲されて伝えられている。『地球を滅ぼす人類最後の宗教、マネー』を読むべきだと教授は言う。

ロコ・ロラは深いトランスに陥り、彼女の地球外生物仲間とコンタクトを始めた。ロコによると、聖書のミルコム神殿のモロク神の経済霊は、現代の企業となって社会に侵入し、自然と調和した繁栄という当たり前の関係からは発生するはずのない悪事をもたらしていると言う。これはマネーの力を自然と対決する状態にするという絶望的な対決だ。「2012年、神の言葉の時代の終わり」と解読されるべき暗号が意味するのは、聖書の宗教のヴェールを剥ぎ取り、モロク神とその経済霊、金融市場の原動力となっている禁じられた高利貸しの姿を顕わにすることである、とロコは言う。

教授の思考は高速回転した。一般的に言って、宗教の正体が見破られたとき、その宗教は滅びる。見破られたマネーの宗教は時間をかけて消滅していくのか、それとも悲劇的な終焉を迎えるのか? その後はどうなるのか? 理論的には新しいカルトが、知識の蓄積を吸収し、使い込まれてツヤの出た金融詐欺の手品術を受け継いでいくことになる。ちょうどキリスト教が内部崩壊していたローマ帝国の工場、設備、衣装を引き継いだようにだ。マヤ暦の2012年は実は2008年だったので、きっと我々はゆっくりしたプロセスに入っているに違いなかろうと教授は考えている。

目を覚ました伍長が立ち上がるのを我々は見上げた。腕を伸ばしたその姿は、ボサボサ頭にリメークされたアドルフ・ヒットラーだ。「俺の投信はどうなるんだ?」と叫ぶ。ロコは笑っているだけだ。教授とモントリオール市場の情報筋も笑っている。こういうのをブラックユーモアと言うのだろうか。

By R.D.Willing
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